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没後110年 カリエール展

 初期の作品はベラスケスなどのスペイン画家の影響を受けているとのことであるが、それらしき作品は特に見当たらない。むしろ展覧会全体は穏やかなセピア色で覆い尽くされており、自己主張の激しいスペイン絵画の影響は影を潜めている。

 

 フランス象徴主義を代表する画家(であるらしい)カリエールであるが、本展覧会の作品の中に宗教や神話などの題材と結びついたものはなく風俗画ばかりであった。

そのなかでも特に母子もしくは子供を描いた作品が目立った。母子や親子を題材とした絵画というと、同時代のベルト・モリゾが思いつくが、彼女の作品とカリエールの画風は随分異なる。

 

 背景は削り取られざらざらとした質感が目立ち、一方で人物はのっぺりと描かれている。顔のパーツをそぎ落とし表情もほとんどわからない作品が多い。じゃあ母子はよそよそしく描かれているのかというとそうでもなく、赤子が母に回した手の表現には親子の絶対的信頼を感じる。

後期の作品になると、形態は背景に溶け込み幻想的になっていく。

ISA GENZKEN Modelle für Außenprojekte 15. Januar bis 17. April 2016

 恥ずかしながら現代アートに関する知識はほとんどないのでこの展覧会に行くまで名前も存じ上げませんでした。1993年には森アーツでも展覧会をやっているようでおそらく有名なかたなのでしょう。21世紀美術館にも作品が収蔵されています。

 

 展覧会全体としてはかなりおもしろかった。ごく普通のホワイトキューブの中に作品の写真もしくはイメージ図とその前に立体模型が設置されています。初期の作品は大きな建築物の中に日常生活の小さなものを見出したり作り出す。例えば二つの大きなビルの屋上と屋上の間に紐をつなげてTシャツにみたてたり。

巨大な窓枠を置いてみたり様々なものの遠近感を飛ばしているかんじがとてもよい。実現はされてなかったみたいだけど道路を挟むように巨大なチューリップが咲いてる作品なんか実際にあったらかなり素敵だと思う。

ただこうした作品のスケール感ていうのは目の前にした時に展覧会でみたのと同じような印象を抱けるかは疑問が残るからパブリックアートっていうのは難しいなと思います。

 

 最近の作品になると無機的なビルの中にお花が咲いていたり大根が生えているなどスケール感の越境とはまた違うかんじがした。別に都会のオアシスみたいなものを目指しているのではないだろうし有機物と無機物の融合を考えたのでもないとおもう。

 

 六本木ヒルズの中に彼女の作品があるので興味の湧いた方はぜひ。

発掘

 美術・芸術にたいして誠実にいたい、(学問的態度として)と思うときと全然1日のうちに思い出さない日の差が激しくて自分はやっぱり学部で勉強を終えるべきなんじゃないかとおもう今日此の頃です。

 

 はじめてブログを書いてからたぶん一年くらい経っています。

この一年の間にものすごく大きな変化がいっぱいあってすっかりこんな記録をつけていたことは忘れていました。性来文章を書くよりは読むほうが好きで、誰かに当てて書く手紙やメールならともかく不特定多数の人に向けて文章を書くのは大変苦手です。

でも記録を残すことはいつか楽しいことになると思うことが最近増えたので再開していようかとおもって発掘しました。まあいつまで続くかはわかりません。

グエルチーノ展 @国立西洋美術館

 よみがえるバロックの画家 グエルチーノ展 3/3~5/31

 

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   グエルチーノ(1591-1666年)はイタリア・バロック美術を代表するがかとして知られます。カラヴァッジョやカラッチ一族によって幕が開けられたバロック美術発展をさせました。一方、彼はアカデミックな画法の基礎を気づいた一人でもあり、かつてはイタリア美術史における最も著名な画家に数えられました。19世紀半ば、美術が新たな価値観を表現し始めると、否定され忘れられてしまいましたが、20世紀半ば以降、再評価の試みが続けられており、特に近年ではイタリアを中心に、大きな展覧会が開催されています。

 *********  フライヤーから一部抜粋

 

 会場に入ると大きな二枚の絵画がお出迎え。ルドヴィコ・カラッチの《聖家族と聖フランチェスコ、寄進者たち》と《祈る聖カルロ・ボッロメーオと二人の天使》

キャプションでも指摘されているが、二つの絵画が同じモチーフを意識していることは明らか。しかし、大きく違うのは、前者が下から徐々に人々をたどりながら聖母マリアとキリストを仰ぎ見る構図になっているのに対し、後者はキリストを見上げ祈る聖カルロ・ボッリメ―オを鑑賞者が横から見るという形になっている。鑑賞者も寄進者たちと一体となり聖家族を見上げるカラッチの作品のほうが神々しく、躍動感に溢れるように感じる。

 本展の作品のほとんどは大画面であり、バロック画家グエルチーノの魅力を余すことなく楽しむことができる。

 

 劇的な画面構成と陰影。バロック絵画の特徴そのままの巨大作品群はいずれも聖者を見上げる仰観である。しかし、布の質感は、サテンや絹といった柔らかなものとはほどとおく、プラスチックやディズニーランドの装飾のように嘘くさく硬質である。ディテールへのこだわりについては巨匠カラヴァッジョには比べるべくもないが、人物の勢いある動き、広々とした構図は見ていて飽きることがない。

 

 展覧会構成は同じモチーフや人物、逸話の違う作品を見比べることができ、楽しい。また、ローマ滞在以後のグエルチーノの作風変化も明確にとらえることができる。《放蕩息子の帰還》は、それまでの強いコントラストやダイナミックな人物は位置からはなれ、質感や人々の表情に注意が払われている。それまではこわばり、差が見えづらかった人物の表情も、うっすらと血色のよい頬は柔らかで、微かな口角から感情を見ることができる。

 

 不勉強故、晩年のグエルチーノ作品変化を概観することは当然できないが、注文主の要望に答え、売れる絵画を素早く生産するためにルクレチアやクレオパトラ、宗教画が描かれるようになってからは、それまでのダイナミズムは息をひそめ垂直性やシンメトリーが強調されるようになる。大画面作品が売れにくいのはわかるが、どうにもグエルチーノの作品は近くでじっくり鑑賞するに堪える作品ではないように思う。広々とした室内で、ゆったりと見るのに適した絵を描く画家である。

no.1

 美術鑑賞、読書、散歩を趣味にしています。

美術史を勉強していますが、勉強したことが身にならないので記録を残すことにしました。

 

 展覧会の感想や美術書の感想などを書こうと思います。

画像は使わず、適切に日本語で表現できるようになりたいです。

英語でディスクリプションをかけるようにするのが目標。